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チオール化合物のSH価とSH当量について

投稿日:2022/04/08

弊社多官能チオール製品の分析値として記載している「SH価」について、ご説明します。

「SH価」とは

SH価」は、試料総重量中にSH基がどの程度含まれているかを、重量%で表した数値になります。ヨウ素滴定にて分析しています。(「SH基」は「チオール基」とも言いますが、今回は「SH基」で統一しています。)

同じ1gのチオール化合物でも、SH価が高ければSH基の数が多く、SH価が低ければSH基の数が少ないことになります。

SH価が高い多官能チオール化合物を使用すればSH基が多く入ることになりますが、SH価が高ければ良いという訳ではなく、主骨格によって基材などとの相性がありますので、用途や目的によって、最適な多官能チオール化合物は異なります。様々な配合を試していただきたく思います。

「SH当量」とは

SH当量」とは、SH基 1molに相当するチオール化合物重量(g) を表した数値で、エポキシ樹脂等との配合をする場合、必要になることが多いです。エポキシ樹脂とチオール化合物を配合する場合、エポキシ基とSH基は当量反応なので、エポキシ基1molにはSH基を1mol入れる必要があります。そのときに必要な重量を計算しやすくするための数値です。

   Reference ▷ エポキシ樹脂との硬化機構  ▷ エポキシ樹脂チオール系硬化剤の特長

SH当量は、SH価から計算することができます。

SH当量計算式

SH当量 (g/eq)の理論式は、右記で示されます。

一方、SH価 (%)の理論式は、前項で説明したとおり、以下で示されます。

ここから、右記の式に換算できますから、

(1)式を代入すると、右記の換算式となります。

SH当量から配合量の計算例

ここまででSH当量についてはご理解いただけたことかと思いますが、実際にエポキシ樹脂に配合する量は求まっておりません。配合比について、具体例とともに説明します。

   Reference ▷ エポキシ樹脂との硬化機構

例えば、あるチオール化合物のSH価が25.0%だとすると、

となり、そのチオール化合物のSH当量は、132.29 (g/eq)となります。

そのチオール化合物を、例えばエポキシ当量が185 (g/eq)のエポキシ樹脂と当量配合したいと思ったとき、重量比は左記となります。

よって、エポキシ樹脂58.3 gに対して、チオール化合物 41.7 g を配合することで、全てのエポキシ基がSH基と反応します。(重量は適宜必要量に換算してください。)

ここでは例として1種類のチオール化合物で計算しましたが、エポキシ基とSH基が同じ数になれば完全に硬化するので、チオール化合物は2種類でも3種類でも硬化に問題ありません。

これを基本配合にして、求められる高機能を付加できるよう、潜在性開始剤や、フィラー、安定化剤などを適宜配合されています。その詳細は(当然ですが)私どもには分かりませんので、色々試していただければ幸いです。

まとめ

チオール化合物のSH価について、ご理解いただけましたでしょうか。

「SH価」:試料総重量中にSH基が重量でどの程度含まれているか (wt%)

「SH当量」:SH基 1 molに相当するチオール化合物重量 (g/eq)

ということでした。

チオール化合物は有機化合物の中ではマイナーな化合物ですので、まずは知っていただき、そして弊社製品を手に取ってもらいたいという思いから、コラムの連載を開始しました。本コラムは、今後、不定期的に更新していきたいと思っております。分かりづらかった点、解説してほしいテーマなどありましたら、HP下部「お問い合わせ」より、お気軽にお問い合わせください。

*本記事は、記載内容を保証するものではありません。

関連リンク

エポキシ樹脂チオール系硬化剤のことをもっと知りたい方は、以下の記事も併せてご参照ください。

 ▷ エポキシ樹脂チオール系硬化剤の特長

 ▷ チオール製品の特長と選択ガイド

 ▷ エポキシ樹脂との硬化機構

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