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製品情報コラム

安衛法2024年改正 概要と対応

投稿日:2023/09/15

安衛法(労働安全衛生規則等)2024年改正内容の概要と、弊社の対応をお知らせします。

安衛法2024年改正概要

化学物質による労働災害防止のため、労働安全衛生規則等の一部が改正されました。(令和4年5月31日公布)
厚生労働省の資料によると、化学物質による労働災害の原因の8割は、改正前の具体的な措置義務(特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、123物質)の対象物質ではなく、規制対象外の数万種類の化学物質となっています。有害性は公知の物質でも、実際に取り扱う作業者が有害性や適切な取り扱い方法を知らなかったことで発生する労働災害と、有害性試験未実施のため有害性未知な物質が本当は有害性があったことで発生する労働災害があります。
そのため、規制の対象外であった有害な化学物質についての措置義務の追加、それら有害性が公知の物質に対して情報伝達の強化、その他有害性がないことが明らかな物質以外は全てリスクアセスメントの結果に基づいたばく露防止のための措置を実施しようという、実務労働者の安全を守るための改正です。詳細は厚生労働省の説明資料をご覧ください。

以上を踏まえ、2024年4月までに具体的になにをすればいいのか、概要をまとめました。章番号を以下の厚生労働省資料と合わせていますので、詳細は資料をご確認ください。なお、2022、2023年施行分については説明を省略している部分があります。

SDS・ラベルへの対応

1-1. ラベル表示・SDS等の通知義務対象物質

ラベル表示・通知をしなければならない化学物質の追加物質(2024.4施行分)について、自社が輸送する最終製品が該当しているか確認します。以下、労働安全衛生総合研究所のサイトにてラベル・SDS義務対象への追加候補物質(CAS登録番号付き)が確認できます。

対象物質となる場合には、以下を参考に、出荷時にラベル・SDSに表示・通知を行う必要があります。

3-3. SDS等による通知事項の追加と含有量表示の適正化

SDSの通知事項に新たに「想定される用途及び当該用途における使用上の注意」が追加されます。想定される用途(推奨用途)での使用において吸入又は皮膚や眼との接触を保護具で防止することを想定した場合に必要とされる保護具の種類を記載する必要があります。
SDSにおける1項「化学品及び会社情報」内の「推奨用途」「使用上の制限」や、8項「ばく露防止及び保護措置」内の「設備対策」「保護具」に記載していれば問題ないようです。

また、SDSの通知事項である成分の含有量の記載について、重量%での記載が必要となります。
「名称等を表示し、又は通知すべき危険物及び有害物」に該当する場合、15項「適用法令」内の「労働安全衛生法」に含有量(重量%)と共に記載する必要があります。含有量に幅があるものは濃度範囲の表記も可能です。15項に記載していれば、3項「組成及び成分情報」の組成の記載方法はGHS(JIS)に沿った記載で問題ないとのことです。


保護具、局所排気装置等の対応

1-2. 作業者の暴露量の低減

リスクアセスメント対象物(=SDS交付義務対象物質=ラベル表示義務対象物質)や、有害性が不明な物質について、なるべくばく露しないように対策を講じる必要があります。

 物質  対応
リスクアセスメント対象物 ばく露量を最小にする。
定期的にばく露状況を作業者に意見聴取・記録する。(3年間保存)
濃度基準値設定物質
(リスクアセスメント対象物の中でも、ばく露量が一定以下なら健康障害を生じない物質)
設定されたばく露量(=濃度基準値)以下とする。
定期的にばく露状況を作業者に意見聴取・記録する。(3年間保存)
リスクアセスメント対象物以外の物質 ばく露量を最小にする(努力義務)

 具体的にばく露量を低減する例として、リスクアセスメント対象物を対象外の物質に変え、根本から無くすことをはじめとして、密閉設備、局所排気装置、全体換気装置を使用したり、有効な呼吸用保護具を使用したり、なるべくばく露しない、ばく露がやむを得ない場合は最小限にすることが義務になります。

 義務となるのはリスクアセスメント対象物だけですが、化学物質による労働災害の原因の8割が対象外物質であることからも、有害性試験を実施していなかったりデータ不足であったりなどで有害性不明な物質についても、ばく露量は最小限となるようにしておいた方が安全でしょう。

1-3. 皮膚等障害化学物質等への直接接触の防止

皮膚・眼刺激性、皮膚腐食性または皮膚から吸収され健康障害を起こす可能性がある化学物質について保護具の徹底が義務、それ以外の化学物質については努力義務になります。

 取扱い物質  対応
健康障害を起こす可能性がある物質を取り扱う。
(「急性毒性(経皮)」「皮膚腐食性/刺激性」「皮膚感作性」などの項目で区分されている。)
(データがなくても実際の業務上で触れた部分がかぶれる人がいる場合など)
保護眼鏡、不浸透性の保護衣、保護手袋など適切な保護具を使用する。(義務)
健康障害を起こさない確証がない物質を取り扱う。
(「急性毒性(経皮)」「皮膚腐食性/刺激性」「皮膚感作性」などの項目で「分類できない(データがない)」)
保護眼鏡、保護衣、保護手袋、履物など適切な保護具を使用する。(努力義務)

弊社では、現状の保護具で問題ないか再確認を行っています。有害性のある物質を取り扱う際には、通常の手袋+取扱い物質に対応した耐溶剤性・耐浸透性の手袋をつけることで対応する予定です。

管理者の選任、講習受講

2-1. 化学物質管理者の選任

リスクアセスメント対象物を製造、取扱いをする事業場において、化学物質管理者の選任が義務となります(個別の作業現場毎ではなく工場などの事業場ごと。複数人でも可)。選任には化学物質管理者講習を修了する必要があります。
化学物質管理者には、ラベル・SDS等の確認・作成、リスクアセスメントの実施管理、ばく露防止措置、化学物質管理記録の作成、労働者への教育、労働災害が発生した場合の対応などが求められます。

2-2. 保護具着用管理責任者の選任

保護具を使用させる事業場において、保護具着用管理責任者の選任が義務となります。
選任要件は「保護具について一定の経験及び知識を有する者」とされていますが、保護具に関する教育の受講を義務付けることはされていませんので、事業場内で保護具に詳しい方、使用状況について管理できる方を選任することになるでしょう。

作業環境測定

6. 作業環境測定結果が第3管理区分の事業場に対する措置の強化

作業環境測定は、労働者の安全と健康を守るために、有機溶剤や特定化学物質などを扱う事業場ではほとんど実施が義務になるかと思いますが、作業環境測定を行うと、作業環境の状態を第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分に区分して評価されます。それぞれの意味は以下の通りです。
 ・第1管理区分:作業環境管理が適切にできている状態
 ・第2管理区分:作業環境管理に改善の余地がある状態
 ・第3管理区分:作業環境管理が適切でない状態

作業環境測定を行った結果、第3管理区分に区分された場合に対応が必要になります。該当場所の作業環境の改善の可否・改善方策について、外部の作業環境管理専門家の意見を聴き、必要な改善措置とその効果を濃度測定で確認・評価する必要があります。

教育、事務対応

1-4. 衛生委員会付議事項の追加

以下の内容について、衛生委員会にて話し合う必要があります。
①化学物質にばく露される程度を最小限にする(濃度基準値の設定物質については濃度基準値以下とする)ための対策
②健康診断(1-8参照)の結果と、その結果に基づく対応
③濃度基準値設定物質について、濃度基準値を超えてばく露したおそれがあるとき:実施した健康診断の結果と、その結果に基づく対応

1-8. 健康診断

リスクアセスメント対象物による健康影響確認のため、必要があると認めるときは、医師が必要と判断する健康診断を行う必要があります。(5年間保存)

2-3. 雇い入れ時等教育の拡充

危険性・有害性のある化学物質を製造し、または取り扱う全ての事業場で、化学物質の安全衛生に関する必要な教育を行わなければなりません。

1-7. 労働災害発生事業場等への労働基準監督署長による指示

労働災害発生の可能性がある事業場において、労働基準監督署長から化学物質管理の改善指示を受けた場合は、化学物質管理専門家から助言を受けた上で、1か月以内に改善計画を作成し、労働基準監督署長に報告・実施する必要があります。
改善指示を受けたときの対応なので、すぐに必要な作業ではありません。

該当する弊社製品について

上記のような安衛法改正により、弊社製品においても、対応が必要となる製品がございます。つきましては、新たに指定化学物質に追加された成分を含有する製品について、SDS、製品ラベルを改定いたしますこと、ご承知おきくださいますようお願い申し上げます。

*本記事は、記載内容を保証するものではありません。

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