PRODUCT INFORMATION COLUMN
製品情報コラム
チオール製品の特長と選択ガイド
投稿日:2023/10/02
堺化学化学の多官能チオール、1級チオールのご紹介。エポキシ樹脂の速硬化、光硬化のLEDランプへの切換えなど、反応性の向上をお求めの方へ。低臭気グレード、ポットライフ安定化グレード、耐水性向上グレードも取り揃えております。
目次
堺化学のチオール製品について
堺化学では、チオール化合物やスルフィド化合物、ジスルフィド化合物など、有機イオウ化合物を幅広く取り扱っております。その中でも、炭素鎖の末端がSH基(チオール基)である、1級チオール化合物を多製品取り揃えています。
堺化学のチオール化合物には、主力製品のBMPAから誘導した1~6官能の エステル型チオール と、耐水性に優れた エーテル型チオール があり、いずれも、エポキシ樹脂のチオール系硬化剤、光硬化樹脂(UV硬化樹脂)の増感剤、連鎖移動剤、架橋剤として使用されます。
エポキシ樹脂 硬化剤として使用
エポキシ樹脂に対してチオール系硬化剤として使用する場合、原則エポキシ基とチオール基が当量になるよう配合する必要があるため、添加量が多くなり、チオール自体の特性が影響することが多いため、チオールの選定がより重要となります。
エポキシ樹脂硬化剤詳細データ選定のヒントとして、以下のように紹介しています。
反応性については、1級チオール系硬化剤のなかで大きな差はなく、いずれも常温硬化や速硬化などの効果がみられます。
エポキシ樹脂硬化物の 仕上がりが柔らかい ことをご希望の場合は、TMMP、Multhiol Y-3などの3官能以下のチオールを紹介しています。
逆に、 硬く仕上げたい 場合、PEMP、DPMPなどの4官能以上のチオールを配合すれば架橋密度が上がり剛直に、あるいはTEMPICを配合すれば骨格由来の剛直さが付与されます。
エステル型チオールの構造的弱点として、過酷な耐湿熱試験等により加水分解することがありますが、エーテル型チオール:Multhiol Y-3、Multhiol Y-4にて、耐水性/耐湿性を克服しました。
これら1製品のみを配合する場合もあれば、 複数製品を使用 してより良いバランスの性能になるよう配合する場合もあります。また、お客様にて使用されている現行の硬化剤の 一部をチオール系硬化剤に置き換える ことでも硬化物性状が改質できる場合もございます。
光硬化樹脂 増感剤として使用
光硬化樹脂のチオール系増感剤としての使用の場合、『 酸素阻害抑制 』、『 塗布物の深部硬化 』、『 黄変(おうへん)抑制 』等の効果が期待できます。
開始剤のみの配合系と比較すると、チオール自体が反応系に組み込まれるため、塗布厚みの厚い用途等において深部までの硬化に有効です。またチオール自体の増感作用を利用し開始剤添加量を減らすことで、硬化後や促進試験による黄変について抑制効果が期待できます。
配合量としても約10%前後で使用されることが多く添加量としては比較的少ないため、チオール種による配合系主成分への影響は少なく、配合時のハンドリングなどや法規関係の理由で選択されることが多いです。
光・熱デュアル硬化 増感・硬化剤として使用
上記のように、 チオールは光増感剤・熱硬化剤として光及び熱両方の役割 を果たします。光でも熱でも硬化反応を示すチオールを使用することで、例えばUV照射により部品を仮固定し、更に熱により光が届かない部分まで完全に硬化させることも可能となります。【光・熱デュアル硬化】
熱に弱い基盤や部品(MEMSなど)に使用する場合でも、チオールの特長である低温硬化性により、 80℃以下の比較的低温にて硬化が可能 となるため、加熱による部品等への負荷軽減が期待できます。
製品の選択については、上記光硬化と熱硬化のフローチャートから、総合的にご判断ください。
連鎖移動剤として使用
1官能のエステル型チオール及びBMPAは連鎖移動剤としてよく使用されています。重合物質の配合系で変わりますが一般的に骨格が長鎖なほど平均分子量が大きくなります。
チオール系連鎖移動剤を初めて試してみるという方には、まずはBMPA、EHMPを紹介しています。これらは、低粘度で取り扱いやすく、出荷量も多く、海外法規もある程度整っているため、バランスの良い製品となっています。また、カルボキシル基を持つBMPAとエステル体に誘導体化しているEHMPとで特性の差が見られるかもしれません。
あまり例はございませんが、多官能チオールを連鎖移動剤として使用した場合は官能基が増えるにつれ平均分子量が大きくなる傾向があります。
連鎖移動剤詳細データサンプルのご請求は「お問い合わせ」より
下記「資料ダウンロード」から、より詳細な資料をダウンロードいただけます。
サンプルのご請求は「お問い合わせ」までご連絡ください。
*本記事は、記載内容を保証するものではありません。