堺化学工業株式会社
JP EN

MENU

PRODUCT INFORMATION COLUMN

製品情報コラム

チオール化合物のSH価とSH当量について、計算方法と自動計算ツール

投稿日:2023/04/08

弊社多官能チオール製品の分析値として記載している「SH価」、エポキシ樹脂へ硬化剤として使用する場合の当量配合量計算に必要な「SH当量」について、意味と計算方法をご説明します。

「SH価」とは

SH価」は、 試料総重量中にSH基がどの程度含まれているかを、重量%で表した数値 になります。ヨウ素滴定にて分析しています。(「SH基」は「チオール基」とも言いますが、今回は「SH基」で統一しています。)

例としてPEMPについて説明します。
PEMP自体の分子量は488.6 (g/mol)です。PEMPにはSH基が4つ付いています。1つのSH基の分子量は33.072 (g/mol)なので、4つのSH基の分子量は132.288 (g/mol)になります。したがって、理論上のSH価は以下のように計算されます。

理論SH価計算式

理論SH価=  SH基合計の分子量 
 構造全体の分子量
 33.1 (g/mol) ×4つ  ×100 =27.1 wt%
488.6 (g/mol)

つまり、SH価=27.1wt%のチオール化合物には、SH基が27.1wt%含まれているということです。そのため、同じ1gのチオール化合物でも、SH価が高ければSH基の数が多く、SH価が低ければSH基の数が少ないことになります。

SH価が高い多官能チオール化合物を使用すればSH基が多く入ることになりますが、SH価が高ければ良いという訳ではなく、主骨格によって基材などとの相性がありますので、用途や目的によって、最適な多官能チオール化合物は異なります。様々な配合を試していただきたく思います。

「SH当量」とは

SH当量」とは、 SH基 1molに相当するチオール化合物重量(g) を表した数値で、エポキシ樹脂等との配合をする場合、必要になることが多いです。
エポキシ樹脂とチオール化合物を配合する場合、エポキシ基とSH基は当量反応(エポキシ基1つに対してSH基が1つ反応する)なので、エポキシ基1molにはSH基を1mol入れる必要があります。そのときに必要な重量を計算しやすくするための数値です。

SH当量は、SH価から計算することができます。

SH当量計算式

SH当量 (g/eq)=  SH基の分子量(g/mol)  ×100
 SH価(%)

*SH基の分子量=33.1 (g/mol)

エポキシ樹脂との硬化機構  エポキシ樹脂チオール系硬化剤の特長

SH当量から配合量の計算例

ここまででSH当量についてはご理解いただけたことかと思いますが、実際にエポキシ樹脂に配合する量は求まっておりません。配合比について、具体例とともに説明します。

チオール化合物配合量の計算法

条件
チオール化合物のSH価:25.0(%)
SH基の分子量:33.1(g/mol)
エポキシ樹脂のエポキシ当量:185(g/eq)

SH当量の計算

SH当量 (g/eq)=  SH基の分子量(g/mol)  ×100
SH価(%)
 33.1 (g/mol)  ×100 =132.29(g/eq)
25.0(%)

配合量の計算
チオール化合物とエポキシ樹脂を当量配合したいと思ったとき、重量比は以下となります。

チオール重量:エポキシ重量 =    チオール当量       エポキシ当量   
 チオール当量+エポキシ当量  チオール当量+エポキシ当量
   132.29       185   
132.29+185 132.29+185
41.7 58.3

よって、エポキシ樹脂58.3 gに対して、チオール化合物 41.7 g を配合することで、全てのエポキシ基がSH基と反応します。

ここでは例として1種類のチオール化合物で計算しましたが、エポキシ基とSH基が同じ数になれば完全に硬化するので、 チオール化合物は2種類でも3種類でも硬化に問題ありません 

これを基本配合にして、求められる高機能を付加できるよう、潜在性開始剤や、フィラー、安定化剤などを適宜配合されています。その詳細は配合屋のノウハウになりますので、色々試していただければ幸いです。

計算ツール

上記の計算を自動で行う計算ツールをご用意しました。入力フォームに数値を入力すれば「Result」部分に計算結果が表示されます。


SH当量計算ツール

SH価  (%)
チオール当量 Result (g/eq)


チオール配合量計算ツール

チオール当量  (g/eq)
エポキシ当量  (g/eq)
エポキシ重量  (g)
チオール重量 Result (g)

まとめ

チオール化合物のSH価について、ご理解いただけましたでしょうか。

「SH価」:試料総重量中にSH基が重量でどの程度含まれているか (wt%)
「SH当量」:SH基 1 molに相当するチオール化合物重量 (g/eq)

ということでした。

チオール化合物は有機化合物の中ではマイナーな化合物ですので、まずは知っていただき、そして弊社製品を手に取ってもらいたいという思いから、コラムの連載を開始しました。本コラムは、今後、不定期的に更新していきたいと思っております。分かりづらかった点、解説してほしいテーマなどありましたら、「お問い合わせ」より、お気軽にご相談ください。

*本記事は、記載内容を保証するものではありません。

関連リンク

エポキシ樹脂チオール系硬化剤のことをもっと知りたい方は、以下の記事も併せてご参照ください。

▷ エポキシ樹脂チオール系硬化剤の特長

▷ チオール製品の特長と選択ガイド

▷ エポキシ樹脂との硬化機構

このコラム記事に関連する製品

TMMP TMMP

DPMP DPMP

PEMP PEMP

TEMPIC TEMPIC

CONTACT / DOWNLOAD

お問い合わせ・資料ダウンロード

各種製品・資料に関するご質問など、お気軽にお問い合わせください

お問い合わせ 資料ダウンロード