USE INTRODUCTION
用途紹介
光硬化樹脂チオール系増感剤の特長
光硬化樹脂とは、特定の波長の光を照射することによって発生する活性種をトリガーとした重合反応により、液体から固体に化学的に変化する合成樹脂です。
以前からスクリーン印刷等の製版に使用されていましたが、現代でも電子材料向け粘接着剤、レジストインキ、ジェルネイル、
クラフト用UVレジンなど、幅広い用途で使用されています。最も身近な例として、歯科治療では虫歯で切削した歯に光硬化樹脂(レジン)を使用し、
紫外線照射により20秒程度の短時間で硬化させることができるため、近頃はよく使用されています。
波長200~400nmのUV(紫外線)による硬化が一般的ですが、近年、長寿命化による運用コストの低減、
低消費電力化などのメリットにより、高圧Hg灯に代わる光源のLED化が注目されています。
UVによる硬化に限った『UV硬化』に対して、UVに限らない光源による硬化は『光硬化』と呼ばれています。
しかし、波長帯域の短いUV-LEDでは、従来の高圧Hg灯などのUVでは硬化していた配合でも期待通りに固まらない可能性があります。
その影響もあり、より低エネルギーで硬化が可能なチオールが増感剤として再度注目されています。
用途例
Application
- 電子材料向け粘接着剤
- レジストインキ
- 連鎖移動剤
- 架橋剤
- 歯科材料
- クラフト用UVレジン
速硬化性評価 / チオールの増感作用について
Sensitization
光硬化樹脂の増感剤としてチオールを使用すると、使用せずに硬化するよりも(黒線)、二重結合反応率が向上しており、硬化が速くなっていることが分かります(上図)。
また、添加量が多いほどその効果は顕著に表れます(下図)。
これは、チオール添加による①増感作用と、②空気による酸素阻害を抑制する効果に起因しており、チオールがUV硬化の硬化不良の対策に効果的であるといえます。 測定機器:リアルタイムFT-IR
測定条件:室温、Air雰囲気
UVランプ照射量 E(abs): 100[mW/cm2]
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モノマー
Trimethylolpropane triacrylate 100部
-
開始剤
1-Hydroxycyclohexylphenylketone 2部
-
チオール
TMMP, PEMP, DPMP 0~10部
表面硬化性評価 / チオールの酸素阻害抑制効果
Oxygen inhibition free resistant
チオール添加にて完全硬化しやすくなることを確認するため、オレフィン種(アクリレート/アリルエーテル)、チオール添加(有/無)、雰囲気(空気/窒素)について、それぞれ硬化試験を行い、表面の硬化状態を比較しました。
チオールを使用しない場合、空気中の酸素による反応阻害を受け、空気中で1分間のUV照射では全く硬化せず、10分間のUV照射後でも硬化不良による表面がベタベタの状態でした。一般的に、薄膜であるほど薄膜体種に対する表面積の影響が大きくなるため、酸素阻害を受けやすいと言われています。
光硬化樹脂の増感剤としてチオールを使用すると、オレフィン種にかかわらず、薄膜でも空気中で酸素阻害を受けずに完全硬化しました。
これは、チオールによる酸素阻害を抑制する効果に起因しており、チオールがUV硬化の表面硬化不良の対策に効果的であるといえます。
完全硬化
完全硬化
硬化不良
硬化不良(ベタベタ)
完全硬化
膜厚:5μm UVランプ(254nm)照射量 E(abs): 2 [mW/cm2] チオール:PEMP
密着性評価
Improved adhesion
光硬化樹脂に増感剤としてチオールを使用すると、使用せずに硬化するよりも引張せん断接着強さが2~3倍向上しました。
試験方法:JIS K6850 : 1999準拠
接着基材:PMMA(Polymenthyl methacrylate)
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モノマー
Trimethylolpropane triacrylate 100部
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開始剤
1-Hydroxycyclohexylphenylketone 2部
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チオール
TMMP, PEMP, DPMP 5部
ラインナップ
Line up
Product
Structural formula
粘度 / Viscosity
(mPa・s) [25℃]
値は全て代表値であり、保証するものではありません。
The values shown above are typical values, not guaranteed values.